ビールは缶のTexateと瓶のコロナ。どちらも4.75ドルと高くなく、キンキンに冷えている。
ハイキング後の温水シャワー後のビール。それはそれは、うまかったのだ。
どこからともなく、あられやナッツが登場し、我々のテーブルは居酒屋状態に。「ちょっと1本」のつもりが、ダースの箱買いになってしまった。
ここでしか買えないというオリジナルTシャツも購入、4時の閉店になったのでいったん外へ。そして、またロッジ脇のベンチで、誰かがバックパックに忍ばせて来たウイスキーで酒盛りは続く。
そして夕食タイム。40ドルのステーキを予約していた富豪たちが最初にテーブルにつき、彼らが終わったところで庶民の番。選択肢はベジタリアンシチューとビーフシチューだ。サラダは新鮮で柔らかく、シチューもハーティーで素晴らしかったし、デザートのチョコレートケーキもうれしかった。
満腹の後の星空まぶしく、見たもの味わったもの、1つ1つが感動。興奮覚めやらない夜だった。
翌朝3時起床。まだ暗いうちにロッジを出る。半月が空に浮かんでいる。
帰りはブライト・エンジェル・トレイルを歩く。
全9.5マイル(15.3キロ)のこのトレイルは、行きのサウス・カイバブ・トレイルよりも長く、全体として傾斜が緩やか。なので、こちらを上りに選んだのだ(←A隊長が)。
最初の関門はコロラド川を渡るSilver Bridgeだった。
真っ暗な中、ゴーゴーと音を立てて流れる川を真下に、ゆさゆさ揺れる橋を渡るのだ。
足下は隙間だらけ。1960年代後半に作られた橋とのことだが、昨日渡った吊り橋よりも怖かった。
しばらく川沿いの砂道を歩き、最初のRiver Resthouse(2480フィート/756メートル)でトイレ休憩。その後から本格的な上りとなる。朝日が昇り、山肌をオレンジに照らす。
明るくなって来た。本日は晴天なり。気温も上がりそうだ。
行きと違って上りはみなそれぞれのペースで歩く。私とパートナーは夕べのビールのせいか、ペースがあまり上がらない。やけに汗もかく(それはビール)。
でも、いいのだ。ゆっくり歩こう。小さな滝やサボテンの花も撮りたいし。
次のポイントはIndian Garden(3800フィート/1160メートル)。
谷間に広がる緑あふれるオアシスだ。コットンウッドの葉が揺れている。もとはハバスパイ部族の居留地だったらしい。
ここまでで半分。あと3マイル(5.2キロ)ある。
見上げるとリムはまだ遠い先。
やめたくてもやめられない。元いたところに帰るには、登るしかないのだ。
Three-Mile Resthouse、Mile-and-a-Half Mileと、リムに近づくにつれ、ハイカーたちの数が増える。日帰りのハイカーも増えて来た。
みんな身軽だ。Bright Angelから、「ちょっと下りてみようか」って人たちなのだ。下りだから、涼しい顔でどんどん下りて行ける。
鼻の穴をふくらませて汗だくの自分とは大違いだ。
あともうちょっと。がんばろう。今夜はEl Tovarでのゴジャースなデナーが待っているぞ。
(つづく)