アメリカで暮らしていて、「日本人ってかわいいものが好きなんだよなあ」とつくづく感じる。
日本にはキャラクターものや花柄やいろんなデザインの服や小物やお菓子があふれ返っているし、大人も子どもも男性も、かわいいものが大好きだ。
数年前にはきゃりーぱみゅぱみゅ(言えた!)が原宿カワイイ大使に任命されて、ロサンゼルスにもやってきたし、今や、日本=かわいい発信国と、国をあげて日本のカワイイ・カルチャーを打ち出している。
アメリカのキャラクターの代表選手は口の大きなミッキーマウスだけど、口のない日本のハローキティーの人気もアメリカでグングンあがっている。
ロサンゼルスの全米日系人博物館で開催されているHello Kitty展では、オープニングの夜、リトルトーキョー界隈にキティー風カチューシャをしたアメリカ人女子が流出。好評につき展示期間は1カ月延びた。
Kawaiiという言葉は英語のウィキペディアにも掲載されている。日本の「かわいい」コンセプトは、アメリカ人にも認識され、理解され始めているのだ。
とはいえ、アメリカ人全員が日本のかわいい文化を理解できているわけではない。このトレンドについていけないアメリカ市民もいる。その好例がマイパートナーだ。
ロサンゼルスで生まれ育った彼、世の中の潮流にもっと敏感であってもよいはずだけど、悲しいかな男だしおじさんだし(つはは)、日本のかわいいにはどうにも解せないものがあるようだ。
例えば、ゆるキャラ。
「日本には全国津々浦々、ご当地キャラがいるんですよお〜」と(かわいく)説明してみても、「なんなんだ、こいつらは?」「なぜ、こいつらが存在してるんだ?」と困惑するばかり。
「くまモン」や「ひこにゃん」といった有名どころはまだ許容範囲だったけれど、奈良の「せんとくん」を見たときは、あまりの奇抜さに目から火花が飛び散っていた。
そして、わが故郷、新潟県上越市のキャラクター「レルヒさん」に至っては、「ガイジンじゃないか!」と、目玉がジェットコースターばりにグルグルまわっていた。
確かに、せんとくん、レルヒさんまで行くと、難易度は高くなる。果たして彼らは、かわいいのか?
しかも、一つの県にご当地キャラクターは何人もいる。新潟県だけでも70近くのゆるキャラがいる。私だって覚え切れない。今や日本全国には、おびただしい数のキャラクターが生息しているのだ。
また、彼らはかぶりものとして、町中やイベント会場に登場する。
くまモンとレルヒさんが一緒にくまモン体操をしている動画を見たマイパートナーは、「What’s wrong with your country?」と涙声になっていた。
「ふなっしー」のはしゃぎっぷりを見たら、彼は鼻血を出すに違いない。ゆるキャラの中にはお茶の間にまで進出し、県民性とはまったく関係のない、独自の個性を打ち出して活動している輩もいるのだ。
さらに各県には、ゆるキャラの他にも、ご当地キティーやご当地キューピー、ご当地ドラえもん、ご当地リラックマなどがいる。新潟名物・笹団子をかぶったキューピーは、私にとって「が〜わ〜い〜い〜(語尾上げ)」だけど、パートナーの目には奇怪な物体にしか映らないだろう。
日本のカワイイ・カルチャーの影響が高じて、ロサンゼルスにオリジナルのゆるキャラが誕生したら、面白いだろうな。果たしてどんなキャラになることか。
とはいえ、待てよ。そもそも、アメリカの「かわいい」は日本の「かわいい」とはコンセプトが違う気がするぞ。
(つづく)